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前回までのあらすじ
Shinjiのワイフと娘(2歳7ヶ月)が我らCurry Crewに同行したいという。
カリー語を駆使して店員を倒す父の勇士を見たいのだろう。
しかし一つ問題があった。2人とも、I Love Curry T-Shirt を持っていないのだ。
いくらCurry Crewの妻子とは言え、作業時の着用が義務付けられているT-Shirtがなければ同行は許されない。
そこで私はすぐさま100円ショップに走った。無地のT-Shirtを買うためだ。
子供用はT-Shirtがあったが、御婦人用はなかったため、ワイフにはノースリーブで我慢してもらうことにした。
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早速パナ助(以下、P助)の家に行き、購入したT-Shirtとノースリーブに黒のマジックで「I Love Curry」とドローウィング。
1字入魂しているところに、「おつカリー」と息を荒げてやってきたYu-ki。カリーを前に、どうやら筋トレをしてシャワーを浴びてきたらしい。Yu-kiのカリーに対する意気込みと真摯な姿勢にはいつも感心する。
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ようやくドローウィングも終わったので、事前にP助の姉親子に試着させ、サイズを確認しておく。
ダサいフリルのついたチープなノースリーブが少し気がかりだったが、贅沢を言える状況でもなかったため、それを持ってShinji親子を迎えに行く。
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Shinji宅に到着。しかしここに来て気がかりだった問題が噴出してしまった。ダサいフリル付きのノースリーブCurry Tの着用をワイフが拒絶したのだ。
「イヤだ、イヤだ」と言い張るワイフ。しかしルールはルールなのだ。着用してもらわなければこちらも困る。
ワイフの気持ちも十分わかるが、断腸の思いで着用を促す。
結局ワイフは今回の同行を見送ることにした。元洋服屋のプライドが着用を許さなかったのだろう。決して私のドローウィングが気に入らなかったのではないと信じたいが、とにかくあのダサいノースリーブCurry Tは、今後の課題だ。
さて、一騒動を経たあげく、いつものCrew 4人で行くことになった。
時計はもう20時半を回っていた。今回訪れる予定にしておいたカリー店はそろそろ閉まりそうだったので、一応電話をしてみる。すると、案の定 21時で閉店するという。他のカリー店に変更を余儀なくされた。
検討した結果、以前から「焼きカリー」という看板が気になっていたというYu-kiが知るカリー店にすることにした。店名は「空(くう)」というそうだが、まだ行ったことはないらしい。
念のために営業時間とカリーの有無を確認することにした。104で電話番号を聞き、P助が電話してみる。
P助:「もしもし、あのー営業時間を聞きたいのですけど、何時までですか?」
P助:「22時までですね」
P助:「あー、それと、普通にカレーとかありますか?」
P助:「あーわかりましたー。ありがとうございます」
どうやら間違いなくその「焼きカリー」の店のようだ。時間も大丈夫。
電話で「カリー」を「カレー」と失言してしまったP助を、「おまえ、カリーって言えよ馬鹿!」とYu-kiが叱る。素人相手とは言え、「カレー」と発言するなんてプロ意識が欠如していると言わざるを得ない。断罪されても仕方がないのだ。
P助は「ごめん」と言い、少ししょんぼりしているが、お構いなしに車を走らせる。
道すがら車内BGMを、くるりの「カレーの歌」にするが、あまりにもしんみりしてきたので、急遽 ZAZEN BOYS に変更する。「密造したハードリカーを水道水で割って飲む」という歌詞は相変わらず意味がわからないが、気分だけはエッジがきいてくる。
15分ほどで今回の現場である「空」に到着。
以前は「焼きカリー」を全面的に看板で広告していたらしいが、今日は一転してハンバーグフェアをやっていた。少し気落ちする。
落ちた気分を奮い立たせんばかりに大きな声で「おつカリー」と言いながら意気揚々と入るが、中はカフェレストランといった上品な雰囲気だった。
オシャレなカップルが、ハニカミながらフェア中のハンバーグに舌鼓を打ち、上流階級のファミリー層がお酒を飲んでいたりしている中、20代後半の野郎4人が「I Love Curry」を胸に掲げてダブルペアルックで入場する姿は、完全にアウェーといった感じである。
しかしここでアウェーの雰囲気にのまれてはいけない。席についてメニューを一通り確認し、まだ決まっていなかったが早急に店員を呼んだ。
Yu-ki:「すいませ〜ん、キーマりました。オーダーいいですか〜?」
こんなときは先制攻撃に限る。
「は〜い」と言いながら、店員が来る。
若い男性店員だ。我々のダブルペアルックCurry Tを見て事情を察知したのか、笑顔で対応してくれる。非常に好感の持てる店員だ。
前回の店員とは全くホスピタリティが違う。カリー的にデキる店員とはこういう人のことを言うのだろう。
順番に注文していく中、一人Shinjiが困った顔をしていた。
どうやらここのメニューにあるカリーにはタマゴが必ず入っているようなのだ。タマゴが嫌いなShinjiにはかなりつらい。
Shinji:「ここのカリー、全部タマゴ入っとるよ〜、こりゃ酷まろ〜」
さりげなくカリー語を使う。さすがだ。
このカリー語の駄々が効いたのか、なんとタマゴ抜きを作ってもらえることになった。やはりここの店は期待ができる。
しばしカリーを待つ。待ち時間は前回と同様、カリカリと音を立てながらアンケート用紙に筆を走らせる。
「本日当店に来店された理由はなんですか?」という質問には、「焼きカリーという看板が、カリー魂に火をつけたから」と正直に記入。電話番号には、0120-990-990(フリーダイヤル:ククレ-ククレ)と、嘘を記入した。
アンケート記入中に、店員がスプーンと福神漬けと、らっきょを持って来る。
すかさずShinjiが「チェケらっきょ!」と叫んだ。
今日のShinjiはアグレッシブだなと思うが、さすがの店員も突然のカリー語に笑いはみせつつも困惑は隠せない様子だ。ちょうど水もなくなっていたので、続けて私が、「すいません、水ククレ」と定番語録でたたみかける。
店員は次々と繰り出されるカリー語に、やや困惑しつつも爽やかに「かしこまりました」と言う。
そして店員がスプーンを置こうとした瞬間、テーブルの下に隠し持っておいたマイスプーンを全員で一斉に取り出し、「スプーンはあります!」と力強く主張した。店員はそれを見てフレッシュに笑いながら去っていった。
我々のマサラ作業の趣旨を瞬時に理解したのだろう。すばらしい店員である。
そして待つこと15分程度、素手で触れられないほど熱々の皿に盛られた「焼きカリー」のお目見えだ。
焼きカリーとは、ライスの上にカリールーをかけ、その上にチーズをのせてそのままオーブンで焼かれたカリーなのだ。
早速、口に入れる。
ムム、これはなかなかいいぞ。
オーブンで焼かれた香ばしいライスにルーとチーズがからまり、舌にしっかりとしたインパクトを与える。看板を出すだけのことはある。全員自分のカリーに集中して、ペロリと平らげた。
残念だったのは、辛さがもの足りなかったこと。とび辛スパイス(通称とびっ子)があればと思ったが、それもないのは少々イタい。
さて、本日のカリーの星の数を発表に入る。基本的に美味しかったが意外とみんなの評価は低い。
理由は全員同じで、辛さ不足。辛さは我々Curry Crewにとって重要な評価項目なのである。
こういう店にはとびっ子を持参する他ないと反省した。
そろそろ閉店も近くなってきたので、お会計へ。
レジのところにあの店員さんがいたので、素晴らしいカリーサービスに敬意を表すという意味で一緒に記念撮影してもらう。レジ係の女性店員に無理やり「はい、チーズカリー」と掛け声をかけさせてパシャリ。
今回は店側と終始友好的な関係を築きながら作業をすることができた。カリー語も少しずつではあるが、地域に浸透していっている手ごたえもある。
店員に「ジャワまた来ますね」と再会を誓い店を後にした。
さて、次はどこのカリー店に出撃しようか。。
写真は こちら
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